
経営計画をマンダラチャートで具体化!ワクワクする目標達成を支援する秘訣

目次

かなえ経営株式会社 佐野 元洋 1970年奈良県生まれ。 1998年税理士登録。 2003年開業、2014年税理士法人化。 大阪、京都、奈良を中心に、これまで数多くの中小企業経営者の夢の実現を会計面からサポート。経営計画作成、財務体質改善、会社再建、整理などを得意分野として経営理念・経営計画をベースにした中小企業の目標達成のため、財務改善、資金繰り改善に力を入れている。 |
「カッコイイ職業」を目指して税理士資格の取得へ
Q.自己紹介をお願いします
かなえ経営株式会社と税理士法人トレイスを運営しています。かなえ経営株式会社は今年で開業21年になります。従業員は9名という小規模経営です。税理士法人トレイスは、2014年に個人で運営していた焔綜合会計事務所が友人と合流し、共同代表という形で法人化しました。私自身、未来会計はもちろんのこと、他にはマンダラチャートの認定講師もやっています。経営計画をマンダラチャートに落とし込むという経営企画の手法を使い、未来会計に繋げていこうという試みです。
Q.佐野さんが税理士を志したきっかけをお聞かせください。
きっかけは高校生の時です。自宅から1番近い高校があり、それだけが高校受験の目標でした。そのような安易な考えだったので、高校に入った途端に勉強しなくなり、学年で405人中390番という成績になってしまいました。極めつけはその状態がずっと続き、高3の夏休み前の全国模試全校模試でついに最下位をとってしまいます。
さすがにこのままではまずいなと思いつつ、なんとなく、ホームルームで担任の先生の職業紹介の話を聞いていた時のことです。その話の中にコンサルタントという言葉が出てきて、内容こそ分かりませんでしたが、「何だかカッコイイ職業だな」という印象を受けました。
進路を調べていく内に、商学部と経営学部に進めば間違いないと感じ、浪人してそれなりのレベルの大学の商学部に合格しました。大学2年生の時に、ゼミの先生から進路を尋ねられ、コンサルティングに携わる仕事を希望していることを話しました。その際に公認会計士や税理士などの裏付けとなる資格取得を勧められ、資格取得を目指すことにしました。
既に商学部なので簿記の勉強はしていましたが、それ以外は大学の授業以外、特に主だった勉強はしていませんでした。資格について調べてみると、公認会計士は7科目一気に受からないといけないことが分かりました。それに対して、税理士は5科目を1科目ずつ合格したらよい資格だったので、税理士の勉強から始めることにしました。
Q.会計業界の入り口は経営コンサルタントを志したところからスタートしているのでしょうか?
高校の時の成績が悪くなったことがきっかけでした。税理士資格は1科目ずつ学科試験に合格すればいいので、簡単に取得出来るだろうと高を括っていましたが、実際の勉強はかなり大変でした。税理士資格を取得することをゴールにしている人が多いようですが、私は経営コンサルタントになることが最終的な目標でした。今ではやりがいを持って仕事ができています。
Q.最初はどのようなキャリアを積まれたのでしょうか?
1995年に大阪のカオスという会計事務所へ入所しました。そこは元々経営計画シミュレーションシステムであるMAP経営シミュレーションシステム((株)MAP経営提供)を入れている事務所でした。会計事務所のこれからの経営について学べる勉強会が盛んに開催されており、そこでは頻繁に社員同士の交流会も行われていました。
当時、多くの勉強会に行かせてもらい、そこで社長と共に中期5か年計画を立案する将軍の日や、未来会計を商品として提供しているMAS監査のことを知りました。個人的には将軍の日や未来会計が必要なことだと思い、勉強会で得た内容を周りに話して実践するように勧めていました。しかし、事務所の人たちはあまり協力的ではありませんでした。最終的には「未来会計をやりたいから独立する」ことになりました。
Q経営に関わりたいという目標を達成するために独立されたんですね
それがひとつの理由ですね。経営に関わりたいという強い気持ちに拍車をかけたのは、当時の事務所でご縁のあった社長とのやり取りの中で、サラリーマンとしての立ち位置を指摘されたことです。仕事で失敗した場合でも、サラリーマンの責任の所在には限界があります。いち社員が全責任を負うことはないため、社長にとっては対等な関係でないことに気づかされました。「社長と本当に対等な立ち位置になるためには、自分も経営しないといけない」という思いに駆られ、独立することを決意しました。
Q.事務所を開業し、未来会計に取り組んでいく中で、何か気持ちの変化はありましたか?
決算書の報告の作成や提出のみに留まらず、クライアントに対してより良いサービスを提供するために、分析する視点を持つようになりました。例えば、売上をひとつの塊で見るのではなく、中身について「社長にとってのありたい姿に近づくための改善ポイントはどの部分か」「商品ごとの利益率は何%か」のように分析をしています。売上を分解して分析するという視点は将軍の日に学びました。
未来会計の良さを伝えられるという自信に、実績が付いてきた
Q.未来会計独自の必須スキルについて、悩みなどは当時ありましたか?
実績がなかった時は「どのように未来会計の良さを伝えたら良いものか」という葛藤はありましたね。実績を例に出してお伝えすることができなかったため、最初の1件を受注するのに苦労しました。そのため、まずは将軍の日にお越しいただき、実際に経営計画を立案していただくことで私自身も自信を持ってお伝えできるようになりました。今では10年間、毎年個別の将軍の日を担当している会社もあります。
Q.関わってきた企業様の未来会計に取り組む前と後で、印象的な変化はありましたか?
先ほどお話した会社様は、常に目標を立てる意識が根付いていったように感じます。かつて2億に満たなかった売上が、今では20億円にまで成長しました。目標を立て実践することはとても重要なことです。目標を立てたからには、必ず達成しようという気持ちが芽生えますしね。それも現状をよく把握、分析したうえで少し高めの目標を立てると良いと思います。
Q.未来会計に携わっていて、感謝されたことがあれば教えていただけますでしょうか
経営計画の発表会を実施するようになった企業の社員さんから「佐野さんのおかげで会社が良くなりました」という言葉をいただきました。そこは製造業のお客様なのですが、業種の特性上、すぐに売上が数字に直結せず、短期間で成果を出すのが難しい面があります。そのため、まず何よりも先に社内の改善に注力したサポートを始めました。そうすることでクレームや不良品が減少し、社員の方々から見ても会社が良くなり感謝の言葉をいただけたのだと思います。
Q.ここまでお話をお伺いしまして、前向きに挑戦されている姿勢を見て取ることができました。一方で、未来会計に取り組むに当たって苦労されたことがあれば教えていただきたいです。
製販分離を強引に推し進めてしまい、チームの運営がうまく行かない時期がありました。現在は人員体制が確立され、若手社員の2人にノウハウの共有と実践支援の場である大合戦の日に参加してもらえるようになりました。元々はうまく提案もできていないような状態でしたが、今では社長の「ありたい姿」をしっかり聞いた上できちんと必要なサービスのご提案をすることが形になりつつある状態ですね。
社長がワクワクする未来を一緒に描く秘訣
Q.コミュニケーションのとり方やスタンスで意識されていることはありますか?
ひたすら話を聞くことですね。社長からはっきりした目標や計画が出てこない場合には、質問内容や質問の仕方を変える工夫も必要になります。中期経営計画となると5年も先の話なので、すぐに出せというのはなかなか難しい話です。その場合には目指す売上金額や社員数、設備投資など、いくつか項目を挙げながら質問しています。社長がワクワクするかを意識しながら、まずは言葉にしてもらい、イメージが広がる聞き方を意識しています。
Q.日々の業務に追われている社長様が多い中で、未来を思い描いてワクワクしてもらうために心がけていることはありますか?
「こんなオフィスにしたい」という未来予想のイメージ図を持ってきてもらうようにしています。以前はドリームマップを使っていました。ドリームマップは目標をビジュアル化するツールで、イメージすることで現実であると錯覚してもらうことが狙いです。ビジュアルから入るのは良い方法ですよ。あるべき姿やこうありたいと思う姿をイメージすることはとても大切です。
マンダラチャートでの計画立案は、達成管理がよりスムーズになる
Q.佐野さんが導入しているマンダラ式のチャートについても教えていただけますか?
やっていることは経営計画と同じですが、マンダラチャートの方が細かいです。最初は我流で勉強していたのですが、セミナーを実施するにあたって本格的に習うことにしました。質問に対して点数で回答してもらい、その結果がレーダーチャートで表示される仕組みをエクセルで作成しました。
セミナーでは定性的な分析に加えて、過去の売り上げに基づいた定量的なデータから分析していきます。さらに単年度計画と中期計画を2日間、じっくり考えていただきます。数字の計画だけではダメなので、現状の売り上げを分類し、様々な角度から分析をおこなうことで新規開拓や既存顧客への注力などの具体的な方針を決めていきます。
Q.マンダラチャートを使って具体的なアクションプランにまで落とし込んでいくんですね。
マンダラチャートは、何を計画したいかによって個人目標から組織の計画まで幅広く活用することができます。社長に核となる計画をしっかり立てていただき、その先は自社で社員の皆さんと共にアクションプランに落とし込んでもらいます。
Q.中期と単年度と月別の目標まで決めてしまえば、翌月以降の達成管理が楽になりますね
そうですね、スムーズになります。ChatGPTと連携しているので、入力はとても簡単です。SWOT分析やPPM分析といった各種分析もすぐにできるように構成しています。情報を入力するとChatGPTが参考になる答えを返してくれるので、自分達では思い浮かばなかったような様々な気づきやヒントがもらえます。ChatGPTを取り入れた経営計画はこれから本格的に導入を進めるつもりです。最初は少人数から始めて、うまくいけば大々的に使っていきたいですね。
社長と対等に会話するために若手職員ができることは?
Q.未来会計プランナーに向いているのはどんな方でしょうか?
綿密な計画が練れることと、顧客のために何かしたいという気持ちが強い人ですね。当社の今頑張ってくれている2人は、まだまだ若手と呼ばれる段階でもありながら、果敢に挑戦して、これからも活躍してくれると期待しています。
Q.若い人材に向けて何か教育をされていることはあるのでしょうか?
お客様先にいく前に現場を想定したロールプレイングで練習をしたり、提案書の中身の確認をしたりしています。未来会計以外の業務ではあまり細かなサポートはできていませんが、新しい人にはできるだけ細かなサポートをするように意識しています。私自身が直接、スタッフともコミュニケーションが取れる距離感のため、1人1人に細やかなサポートができることは強みでもあります。
Q.今後の展開などあれば教えていただけますか?未来会計に関するビジョンや目標などもあればお伺いしたいです。
事務所の今後の展望としては3つの柱を考えています。事業承継と経理代行、未来会計です。先ほどお話した2人の若手スタッフを巻き込みつつ、未来会計の事業をさらに拡充していきたいと考えています。
未来会計は企業に欠かせないもの
Q.これから未来会計に取り組もうかと考えている方、未来会計が自社に必要なのかと考えている方に向けて、佐野さんのメッセージをいただけますでしょうか。
まず、未来会計は会計事務所として取り組むべきものですよね。最近では継続的なサポートをおこなう伴走支援が一般化してきています。しかし、経営計画がないままで会社運営を続けるのは、羅針盤がない航海と同じで、どこに行き着くか分かりません。具体的な目標の有無で、売り上げの達成率も大きく変わってくるでしょう。設定した目標に行き着くまでのプロセスがとても大事で、そのプロセスをクリアにするのが未来会計です。
これからの若い世代へ「こんなに面白い仕事はない」と伝えたい
Q佐野さんからこれだけは伝えておきたいメッセージはありませんか?
子供や若い世代の人たちへ、「こんなに面白い仕事はない」とお伝えしたいです。日本企業の99.7%は中小企業です。日本経済を支えているのは中小企業であり、その中小企業を支えているのが我々会計事務所、そして未来会計プランナーです。基本的な会計や税務の側面から支えているわけですし、経営サポートにもなるとやりがいも十分な仕事です。「会計はやりがいのある面白い仕事である」ということをもっと広めたいです。
