
「密なコミュニケーションでクライアントの気持ちに寄り添う」公認会計士の立場から見えた税理士と企業支援業務の魅力

目次
税理士法人エスペランサ
代表
公認会計士・税理士
ふじた 美咲 1995年に公認会計士二次試験に合格。監査法人勤務を経て、2012年に税理士法人エスペランサに入所。2014年には責任者として相続ラウンジを設立、併せて経営計画立案チームも率いる。その後2023年に総代表就任。他に、「資格の学校TAC」で公認会計士講座、「三重短期大学」で法経科講師を長年務めており、商工会議所・ハウスメーカー・金融機関などの依頼によりセミナー講師も多数実施。2024年4月より、中京大学大学院 人文社会科学研究科 法・政治学専攻に客員教授として就任。 |
Qまず最初にこの業界に入ったきっかけを教えていただけますか?
大学在学中に経済学部に所属していて、将来長期的に使える何らかの資格を取得したいと考えていました。大学3年生から所属するゼミの先生が公認会計士の試験委員をされており、公認会計士にチャレンジしてみようと思ったことがきっかけです。
当時ゼミ生が15名ほどいて、みんな税理士か公認会計試験を目指していました。その様子はまるで専門学校のようで、仲間同士で切磋琢磨しながら、知識を補い合ったのが今でもいい思い出です。大学3年生からスタートし、約3年間かかりましたが、何とか公認会計士の資格を取得することができました。
Q社会に出られた後は働きながらどのようにキャリアを積まれてきたのでしょうか?
公認会計士の資格取得後は、監査法人に就職しました。ありがたいことに通っていた専門学校から講師としても迎えられ、本業と並行して勤務することになりました。平日の夜と土日を利用して講師業を勤め、かなり両立が大変でしたし、座学と実務の違いに戸惑ったこともありましたが、どちらもやりがいのある仕事でした。公認会計士の試験合格後に通う実務補修という制度の中で税法の講義があったので知識はありましたが、将来税理士になることなど、その頃は夢にも考えていませんでした。
夢にも思わなかった税理士の道は専門学校の講師仲間との縁から
Q公認会計士として監査法人で働いていた時はどのような仕事をされていたのでしょうか
主な業務は企業が作成した財務諸表に重要な虚偽表示が存在しないかを確認する監査業務でした。必要とされる知識の多さやレベルの高さに必死で勉強しながらも、日本経済のベースになる証券市場を成立させる制度の一端を担っているという責任感と、満足感で充実した日々を過ごしていました。
Qふじたさんは税理士業界へ入った後に未来会計プランナーとして企業の経営を支援していくという今までの流れがあると思いますが、まずは税理士の業界へ入ったきっかけからお伺いできますか?
税理士業界に入職してから、ちょうど13年になります。現在、共同経営をしている吉田に声をかけられたことがきっかけで、一緒に名古屋オフィスを盛り上げていくことになりました。元々同じ専門学校で、吉田は税理士講座、私は公認会計士講座の講師をしていました。この出会いが人生の転機とも呼べる出来事で、今の税理士としての私がいます。最初はクライアントも多くなく、時間もゆったりと流れた気がします。
監査法人を経て実感した、クライアントと税理士の関係性
Q税理士と監査法人の仕事とのギャップはいかがでしたか?
監査法人と税理士法人では、求められるものが全く違うと感じています。監査の仕事は財務諸表が企業の実態を正しく表示しているかの保証が目的で、会計基準に沿った処理ができているかを問うことになります。会計士の仕事は法律にのっとって、第三者の立場から組織的に遂行していくイメージですが、一方で税理士の場合は個々のクライアントに向き合って個別に仕事を進めるイメージです。
個々のお客様の生活にダイレクトに直結するご相談が多く、なかなかその観点の違いに慣れず、違和感がありました。会計士の頃は企業が作成した書類を監査する立場だったのが、税理士だとお客様と一緒に作る立場に180度変わりました。仕事を続けるうちに観点の違いにもだんだんと慣れていきました。
Q次第にリーダーシップを発揮する立場になると思うのですが、税理士法人エスペランサでのキャリアの積み重ねはいかがでしたか?
入所2年目に吉田から、「相続の専門事務所を立ち上げたいので手伝って欲しい」と指示を受けました。「女性主導でお客様に寄り添える事務所を目指す」というコンセプトで、当初はお手伝いをするくらいのスタンスでしたが、私が指揮を執って積極的に推進していく立場になりました。
Qビジネスの立ち上げは大変な仕事だと思いますが、任された時は前向きに取り組むことができましたか?
自分から主体的にビジネスに関わることには、以前から大変興味がありました。いざやり始めてみると、余計なことを考えている暇もなく、どんどん仕事が進んでいきました。最初の1年は、女性税理士が運営していることと地域に根差した相続特化の税理士事務所としての認知度アップと組織作りに全力を注ぎました。最初の数年はあっという間に過ぎていきました。
Q未来会計の話をお伺いしていきたいと思うのですが、未来会計プランナーという仕事を知るに至ったきっかけを教えてください
未来会計プランナーの仕事については、エスペランサに入所してから知りました。監査法人の仕事を離れてからも、コンサルティング業をやりたい気持ちは持ち続けていたのですが、それまでなかなか仕事に携わる機会がありませんでした。
実際に未来会計の仕事内容を聞いてみて、コンサルティングをやりたい気持ちがまた沸々と湧いてきました。元々、エスペランサのクライアントの相談のほとんどが「将来どう経営をしていったらいいだろう」という未来への漠然とした不安でした。未来会計に取り組む前から多く聞いていました。問題を掘り下げて、こちらから解決策を提案し解決していくという仕事内容にとても関心がありました。
未来会計業務での苦労
Q税理士法人エスペランサに入所された時点で初めて未来会計に触れたというわけですね。お客さまをサポートするうえで大変だったことなどありましたか?
初めは形のないものを提出して報酬をもらうことに違和感があり、「報酬に見合う成果物を提供できているのか?」と頭を抱えました。財務諸表の作成や税務申告は形があるものなので、成果物としては明確でしたが、未来会計の場合は明確な成果物はありません。しかし計画値に対する実績値との比較を予実管理という形で有益な情報を提供できるわけですから、その価値を成果物として明示することに力を注ぎました。
Q今まで支援されてきた中で特に印象に残るお客様や思い入れのあるエピソードなどありましたか?
長く未来会計を導入いただいているお客様が数社あるため、成長を分かち合ってきたクライアントとして思い入れがあります。あるお客様は創業間もない時期から未来会計でサポートさせていただき、今では膨大な数の従業員を抱える経営者になるまで成長されました。当初は社長とマンツーマンで提供していた未来会計が今では支店も増えて幹部社員の方も多くなり、幹部会議の場となっています。
その成長の度合いを目の当たりにすることで、私自身も改めてやりがいを感じています。ますます事業規模が大きくなり、社長が次第に経営者の顔になっていくのを見られるのが、この仕事ならではの醍醐味であり、やりがいを感じるところですね。
Q経営者の顔とプレイヤーの顔、違いはどの辺に現れるのでしょうか
私が思う経営者というのは、組織全体を見て、今のことだけでなく先のことをある程度見越した決断ができる人だと思います。目の前の起きてしまったことについて対処するのではなく、この先具体的にどうしていくのかと先へ先へいう考え方が終始一貫しています。
経営者として従業員のリーダーとして、どんな時も常に物事を前向きに捉える考え方は、私も日々刺激を受けて勉強しています。
未来会計プランナーは「経営者に寄り添う備忘録」
Qふじたさんがお客様との関わりの中で意識されてきたことを教えてください。
基本は聞くこととまとめることです。5年間というスパンで中期計画を立てて、直近一年目の単年度計画を立てて、毎月の予実管理を提供するのが一般的な未来会計です。数字の確認はもちろん行いますが、なすべき事・すべき事・今やらなくてもいいこと・やりたいことなどをクライアントと密にコミュニケーションを取り、伺ったことを一度まとめて整理します。業務の優先順位をつけて、行動の取捨選択を行い、数字を見ながら一緒に追いかけていきます。
誰でもそうだと思いますが、日々の業務に追われると、やるべきことを忘れたり、やらなかったりということが起きます。やるべきことを整理してまとめ、そのアウトプットとして備忘録を残し、優先順位をつけて経営を前進させることで問題解決に繋げていくのが私なりのやり方です。
Q中小企業の経営者にとって、未来会計や未来会計プランナーというサービスをどのように使っていただきたいと感じていますか?
未来プランナーを一言で表すと、クライアントの備忘録を担う人です。未来会計プランナーはコンサルタントではないので、専門業種に特化したアドバイスができるわけではありません。また、元々税理士という職業柄の性格もあり、コンサル業としての位置づけではありません。
数字に強いという私達の長所を活かして、会計を入口にした感情のある相談係という立場でありたいです。数字を正確に読み取れて整理もできる、クライアントの気持ちに寄り添えて、日々忙しいクライアントの相談ごとやアウトプットの相手として見ていただけると幸いです。
会計業界で働く方へ
Q最後に会計業界で働きたいと考えている方に向けて、未来会計プランナーの仕事の魅力と合わせてメッセージをいただけますか?
クライアントに感謝していただける点、クライアントとともに成長できる点が未来会計プランナーのやりがいです。毎年決算終了後に1年間の総括を行い、私たちからクライアントに対して「今年も1年間お疲れ様でした。今年は黒字でしたね。目標達成ですね。頑張りましたね」と声をかけ、拍手をし、一方でクライアントから私達に対して「ありがとうございました。また次年度もよろしくお願いします」と言っていただけた時には、言葉では言い表せないぐらいの喜びがあります。
色々な業種や業態の経営に携わることができるのも魅力の1つだと感じています。1つの業界で仕事をしていると、他の業界のことを知れるチャンスはなかなかありませんが、未来会計プランナーになれば色々な経営者との出会うことができ、その経営に伴走して、一緒に体験できることに面白味があります。
